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バレークラブチーム初のサンドコート創設。地域のオアシスを目指す「フレンズ」の挑戦

2026.04.02

 ヤングクラブでは4年連続、岐阜代表として出場。ビーチバレーでは湘南藤沢カップ(中学4人制全国大会)で2024年、2025年と2連覇、そして2022年、2023年はマンモスカップ(中学2人制全国大会)で優勝。数々の実績を残してきた岐阜県各務原市で活動している男子バレーボールのクラブチーム「フレンズ」。日本の中学生ビーチバレー界では、知らない者はいない強豪チームである。

 自治体や学校組織でもない。地域のクラブチームである「フレンズ」が昨年5月、各務原市の街中にサンドコートを設立した。自らの退職金をつぎ込み、さらにクラウドファンティングで支援者を募り、長年の夢を叶えた立松朋子氏にコート創設の経緯と今後のビジョンを聞いた。

岐阜県各務原市にある「ペンギンオアシス」

二刀流の始まり
「フレンズ」の創部は2014年。バレーボールのみの活動からビーチバレーにも取り組み始めた理由は、ごく単純なことだった。

「私たちはクラブチームなのでいろんな中学から選手がきて中には部活に所属している選手もいます。部活組は8月に中体連の大会がありますが、部活に所属していない選手たちは9月のヤングクラブが目標になるので、8月は何も目標がなかった。そこでビーチバレーの全国大会で優勝を目指そうと、ビーチバレーへの参入を決めました」

 2018年には岐阜県予選で準優勝し、湘南藤沢カップ初出場を果たした。それからというもの立松氏も含め、選手たちはビーチバレーの虜になった。

練習を見守る監督の立松氏

「ビーチバレーをやることは私たちにほぼメリットしかないと思っています。不安定な砂の上で身につく体力、ジャンプ力、足首、足裏、足先の力。身体的にも頭を使うという意味でも、そのままインドアに活かせば、バレーボールのすべてが楽しくなる。効果てきめんでした」

 ただ、岐阜県唯一の常設コートがある海津市の長良川サービスセンターは、車で片道1時間15分から30分と同じ県内とはいえ遠かった。送り迎えは保護者の負担にもなっていた。また公共の施設であるため、使いたいときに使えないこともある。
 立松氏は「保護者の負担もなく、近場で安全に自由にビーチできる場所があったら……」と想いを募らせていた。

「実は初めに作りたかったのは、専用の体育館でした。体育館の予約を保護者の方々にお願いしていた状況でしたので。でも、体育館を作るには2億必要で、それは財力的に厳しかった。でもビーチコートは1000万あれば、作れるんです。2024年に湘南藤沢カップで初めて優勝することができ、チームも設立から10年を迎えましたので、これを機に思い切って挑戦しようと決意しました」

支援者と創設した「ペンギンオアシス」
 職場を早期退職した立松氏は自身の退職金を総工費に充てた。しかし、それだけでは1000万に到達しない。そこで取り組んだのは、『海なし岐阜県各務原市でのサンドコート造成』というプロジェクトを掲げたクラウドファンティングだった。公開3日目で目標額である100万円に到達。結果的に230万円の支援金が集まった。

 それと並行して工事も進んでいき2025年5月11日、サンドコートはグラウンドオープンを迎えた。コートの名称は「ペンギンオアシス」。場所はJR鵜沼駅および名鉄新鵜沼駅から徒歩ですぐ。地域の人が集うレンタルスペースや庭園が彩られている「城山テラス」内に構える。

「ペンギンオアシス」は城山テラス内に創設された

「目の前には線路があるので、電車の窓から子どもたちがバレーを楽しんでいるのがまる見えです。人生のよちよち歩きの時期の子どもたちが好きなこと(バレーボール)に夢中になっている姿をペンギンが歩くときの愛らしさになぞらえ、そして見守る大人たちも笑顔になれる、そんな憩いの場所になればいいなという願いを込めて『ペンギンオアシス』と名付けました」

「ペンギンオアシス」は利便性を考えた設備が至るところに散りばめられている。排水設備も整っており、その上に熱くなりすぎない、反射しない、身体につきにくいなどビーチバレーに適している砂を230トン敷いた。コート周りは6メートルほどの高さのフェンス、防球ネットが立っていて、ボールが砂にバウンドして外に飛び出ることはない。コートサイドにはボードウォーク、両端には足洗い場も設置されている。

電車からも「ペンギンオアシス」が見える

地域に必要なオアシスへ 
 こうして環境を整えた「フレンズ」は時期や時間を問わず、フロアとビーチを行き来できるようになった。新年度から中学3年になるという高見海史はこんなふうに語っていた。

「6人制のインドア、4人制、2人制のビーチ、中でも一番面白いのは2人制です。2人でコートを守らないといけないし、相手との駆け引きに勝たないと点がとれない。ビーチをやり始めた頃は、インドアとの動きの違いに思ったように動けませんでした。だんだん二刀流に慣れてきて、できるようになってきました」

練習中も笑顔が絶えない「フレンズ」の面々

 立松氏は2人制に取り組む効果について述べる。
「2人制は4人制と違ってオールラウンド。メンバーチェンジもない。自己管理をしっかりしないと試合が成立しないので、責任感が生まれます。最初はわからなかったんですけど、それらを中学生のレベルで養える。どんな環境でも順応できるように力を身につけられる。選手自身がそこまで時間をかけずに、自ら答えを導き出せるように意識しています」

「ペンギンオアシス」には県内外から選手たちが訪れる。近隣の競技者にとって必要不可欠の場所になっている「ペンギンオアシス」だが、今後管理していくには課題もある。

「メンテナンスを含めた年間の維持費は100万ほどかかります。現在は持ち出しで運営している状況ですが、企業さんからご支援いただいたお金で今後は賄いたいと思っており、支援を募っています。地域の皆様にとっても、ビーチバレーを通じた地域の輪、活力アップにきっと貢献するものと信じています」

 立松氏の信念は少しずつかたちになりつつある。支援企業のネーミングパネルがサンドコートを取り囲む。夏には地域住民がサンドコートでラジオ体操を楽しむ場にも。「ペンギンオアシス」は、「地域のオアシス」として確かな一歩を踏み出した。

小学生から高校生が活動している「フレンズ」

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