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 「時代が彼らを呼んでいる」。進化を続けるトヨタ・青木晋平のコーチング論

2026.07.01

日本オリンピック委員会(JOC)による海外研修事業で2022年から2年間、スロベニアで学んでいた青木晋平氏(トヨタ自動車ビーチバレーボール部)。帰国した年には水町泰杜が二刀流デビューを果たし、昨年には黒澤孝太とともに全日本選手権で準優勝という成績を残した。今季は言わずもがな、アジア競技大会代表を決めた。また今年2年目の秋重若菜もジャパンツアーで初の表彰台に上がり、目下成長中である。コーチングを担当する選手たちの進化。それは、インドアのトップクラスを経験してきたことが起因なのか、それとも青木氏のコーチングが機能しているのか。その要因や青木氏のコーチング論を聞いた。

──今シーズン、試験的に導入されているコーチがベンチに入るシステムについて、どういう見解をお持ちですか?

「この制度が導入されたことによって、業界的にはコーチの価値が高まってくると思います。その分、コーチに求められることも多くなりますし、『コーチ』という仕事の専門性がより強まっていき、コーチの目線でいえばポジティブに考えられると思います。ただ、選手目線でいうと、コーチがベンチに入ることによって嫌な選手もいるのではないでしょうか」

──選手からしてみれば、時と場合によってはコーチの意見をうっとうしいと思う選手もいるかもしれないと?
「そういうことです。貴重なタイムアウトやセット間の時間にコーチが入ることにより、コーチと選手の間に不必要な衝突が起こる可能性もある。あとはデメリットとして、コーチが間違った情報を選手たちにインプットしてしまう。選手が違う方向へ動いたり、主体性が失われる可能性もあります」

──ときには迷いが生じてしまったり?
「はい。コーチが介入できるタイミングは、試合前、試合中のタイムアウト、テクニカルタイムアウト、セット間と限られています。コーチはゲームの流れを読み、いま何が起きていて、これから何が起きるか、それに対してどうしていくべきかを判断していく必要がある。でも誰でも見誤る可能性はあるので、頭をフル回転させて考える。だから、試合が終わるとぐったりしています(笑)」

ベンチで水町/黒澤組に声をかける青木氏

──今季の水町泰杜/黒澤孝太組は、このシステムがはまりましたね。
「機能しているので、それは間違いないと思いますね。彼らがビーチにきたタイミングを考えると、時代が彼らを呼んでいるのではないでしょうか」

──インドアのトップ選手だった水町選手、黒澤選手、そして秋重選手がビーチに取り組むようになり、今やっている戦術はレベルが高いものだと思いますが、順応できる要因は何だと思いますか?
「一番は、それぞれが責任感を持っていること。もちろん、インドアで培ってきた経験もありますが、コーチサイドで言うと何がどうあれ、責任はコーチ側にあるよと姿勢を見せることだと思います。それでいうと、選手側に自由度はあまりないんです。選手それぞれ、チーム全体の練習やトレーニング、ケアの内容は、コーチ側がすべて決めています。年間、月間、週間における負荷の強弱を含めたミクロ、メゾ、マクロサイクル、つまりピリオダイゼーションがあって、それに関しては僕らが責任を負いますよ、と意思表示をしています。だから選手側も覚悟を決めてやってくださいね、と。それをやってダメだった、やってどうだった? さらにアップデイトしていきましょう。ということをやっているので、お互いに緊張感や責任感もありつつ、日々を過ごしている感じですね」

──インドアのトップ選手であろうがなかろうが、そこはコーチングの根幹には関係ないということですか。
「関係ないですね。選手によって個性がありますし、チームのスタイルというものもあってさらに時間的な制限がある中で、どうしたら目標に到達できるのかを考えていく。最初の段階でしっかり計画を作って、そこからどんどんいいものはいい、ダメだったものは二度としないように常にアップデイトしていきます。計画段階に重きを置いていますし、より計画の精度が高くなっていけば、時間はかからないと思うので。それがトヨタ自動車という会社のやり方に近しいものでもありますし、僕がスロベニアで学んできたこともそれなんです。『なんで?』と思うことを突き詰めていくということが、その結果、選手とコーチの責任感とか使命感につながっていっているのではないでしょうか」

世界トップチームより数が多いと言われる水町のフェイクセット

──なるほど。いま、水町/黒澤組が取り組んでいる速いテンポのバレーは、やはり世界でもスタンダードでしょうか?
「スタンダードと言えばスタンダードですけど、彼らは世界のチームより、トリッキーだと思います。世界のトップチーム、スウェーデンはトリッキーな攻撃を仕掛ける代表的なチームですけど、1試合にしたら本数はそこまで多くないんです。フェイクセットの攻撃をピックアップするとものすごくやっているように見えますけど。2年前くらいのデータでは、1年間通して1試合どのくらい平均でフェイクセットの数を算出すると、1セット平均2、3本なんです」

──ひるがえって水町/黒澤組は、基本がトリッキーですものね。
「黒澤がいろんな動きをするし、ほぼほぼ動く。水町もフェイクするし。2人は8割方、動いていると思います。でも一番は彼らがやりたいからやっているというのが大きいですね」

──それにしても、なぜ難しいことを、いとも簡単にできてしまうんでしょう?
「まずはフィジカル的な要素は外せないでしょう。あと基本の技術力が伸びましたね。とくに黒澤は昨季より今季のほうが明らかに安定している。碧南にきてからパス、トス、ブロックを中心に基本練習を積み重ねてきました」

──トヨタには他のコーチもいらっしゃって複数チームがいますが、それぞれ練習は違うのでしょうか?
「練習は違います。自分はヘッドコーチなので、こちらから各コーチに計画を立ててくださいとお願いしています。日曜に次の週の1週間のスケジュール、練習内容を……

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