2021.08.31
「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021第2戦平塚大会ガラナ・アンダルチカ杯が行われた。東京五輪終了後、初めての国内トーナメントとなった今大会は、優勝争いとともに、大学チャンピオンの出場が注目された。
今年の大学選手権を制した女子の山田紗也香/オト恵美里組(産業能率大)、男子の福嶋晃介/小田涼太組(日本体育大)には「アクティオ・ワイルドカード」が与えられている。山田は過去にツアー出場経験もあるが、他の3人は初めてトッププロに挑むことになった。
山田/オト組の1回戦の相手は橋本涼加(トヨタ自動車)/村上礼華(ダイキアクシス)組だった。「勢いを持ってプレーしたい」と話す山田のサービスエースから始まった試合は、中盤まで橋本/村上組に離されることなくついていった。
山田がゲームを組み立て、オトの強打で点を取る得意な形は、なかなか出すことができなかったが、緊張した中でもツーアタックなど落ち着いたプレーも見られた。しかし、9ー12で折り返したあと、プロツアーの洗礼を一気に受ける。183cmの橋本の高さをかわすことができず、スパイクミスが増えた。ディフェンスではオトのブロックのうしろに落とされるショットにまったく対応できなかった。ほとんど点を取れず、11ー21で第1セットを落とした。
第2セットも10ー11と互角の前半になった。試合の主導権を握ることはできなかったが、次第に橋本/村上組の攻撃にも慣れてきた。ただ相手の高さに対して、「思い切り打っていくのが武器」というオトの強打が通用せず、中盤以降、攻守ともプレーの正確性を失っていった。最後はオトのスパイクが橋本に止められ、14ー21。0ー2のストレートでの敗戦となった。
福嶋/小田組は、1回戦で清水啓輔((N&N corporation / 中部土木)/村上斉(ADI.G)組に挑んだ。188cmと高さのある福島の強打を中心に、攻撃を仕掛けたい大学生チームだったが、プロはその意図をシャットアウトした。「チャンスボールが返ってこない」と小田が話すように、終始、清水/村上組にゲームをコントロールされ、第1セットは12ー21で失った。
硬さも見え相手に圧倒された第1セットから、第2セットに入ると次第に2人の本来のプレーが表れ始めた。対応に苦労していた村上のブロックにも、低いトスや早いタイミングで工夫し、攻撃の活路を見出だした。福島のジャンプサーブ、小田のスパイクにも思い切りの良さが戻り、一時は7ー6とリードした。しかし、プロチームの冷静さプレー、ボールに微妙な影響を与えている横風を前に、ゲームを支配することはできなかった。中盤から少しずつ点差を離され、17ー21で第2セットも落とし、0ー2で1回戦負けが決まった。
両チームとも完敗し、「二手、三手先を考えないといけない」(山田)ゲームでプロとの差を実感した。しかし、けれん味のないスパイクや、状況を変えようとするアイデアなど、将来へつながるプレーも感じられた。世界トップの大会でなかなか結果が残せず、危機的状況の日本のビーチバレー界において、若手育成の環境をつくることは急務。その希望の光の一つが見えた2試合となった。
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