アンダーエイジビーチバレーボールアカデミー

過去最大規模となった「AKTIO アンダーエイジ・ビーチバレーボール・アカデミー」vol.9レポート

2025.04.08

 日本のトップ選手やコーチが、全国各地の中学生、高校生に練習法から実践的な戦術まで教える「AKTIOアンダーエイジ・ビーチバレー ボール・アカデミー」は9回を数える。2022年から始まったこのアカデミーは定期的に開かれており、今季初めての開催となる碧南ステージは、4月2日に愛知県碧南市にある碧南緑地ビーチコートで行われた。

122名の参加者が集まった開会式

 碧南緑地ビーチコートは、2018年に完成したまだ新しい施設である。ビーチバレーコート6面、ビーチサッカーコート2面が使用でき、照明施設も備わっており、ビーチバレーのみならず様々なビーチスポーツで利用されている。オーストラリア産の硅砂である白砂は粒子が細かく、国際大会でも使用可能。2026年愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会では、このコートがビーチバレーボールの競技会場として決定している。

コート6面を使い最大規模の開催となった

  愛知県は、以前よりバレーボールのトップチームが多く存在し、ビーチバレーへの関心も高い。その地で行われたアカデミーには、地元碧南市の中高生など、予想を上回る120名の生徒が集まった。これはアカデミーでも過去最多の人数であり、6面のコートを最大に活用しても手狭になるほどで、関係者にとっては嬉しい悲鳴となった。講師も過去最多の7名が担当した。メインとなる講師は村上めぐみ(立飛ホールディングス)と畑辺千代。村上は日本代表として2020年東京五輪に出場したオリンピアンで、本アカデミーでは毎回、リーダーとなり講師を務めてきた。畑辺も、年代別の元日本代表選手で、現在はコーチ業を中心に活動している。また、元ビーチバレーボール女子日本代表監督で、インドアのVリーグ男子、アイシンティルマーレ碧南のアシスタントコーチである牛尾正和も講師の手助けをした。

ウォーミングアップを行う選手たち

 現役選手としては、坂本実優(キュービック・スポット)、立谷純太郎に加え、地元碧南市の小学校教諭である関寛之、碧南工高出身の詫間悠(中部土木)と、この土地にゆかりのあるプレーヤーが講師陣に名を連ねた。母校の後輩たちを指導することになった詫間は、「初めて講師を経験しましたが、自分が高校生の頃にもこのように1日を通して学べるような機会があれば良かったなと感じました」と話した。 

パス練習に取り組む男子選手

 午前10時からのウォーミングアップでは、深い砂の上での起き上がり方、ジャンプ、走り方など、ビーチの基礎的な動作を取り入れて体を動かした。その後、6面のコートにレベル別に分かれ、キャッチボール、アンダーパス、オーバーパスからスパイク、ポーキーショットなど、基本の動きから徐々に実践的なプレーへとメニューは進んでいった。

笑顔を見せる女子の参加選手


 講師陣は「ビーチバレーボールを楽しむ」ことに主眼を置きながら、プログラムにゲーム的要素を取り入れている。次第に各コートには、ワンプレーごとに喜ぶ声が上がるとハイタッチも交わすようになり、生徒が講師とともにビーチを楽しんでいる姿が見えた。最後にはコートごとにゲームを行い、午前中のプログラムを終えた。

スパイク練習後、ゲーム練習へ発展していった

 午後はフリータイムを設け、生徒たちが講師にプレーの疑問点を質問し、ペアを組んで一緒に対戦するなど、様々にビーチバーレーボールを楽しんだ。また、経験者、上級者に対しては、技術的、実践的な指導も行った。

 アカデミーに参加した高校2年生の男子高校生は「最後のゲームは勝ちを意識しすぎてしまいましたが(笑)、ビーチを今までよりもっと楽しい競技だと感じました。基礎からみっちり、試合に必要なプレーを教えてもらいましたが、楽しさが一番にありました。楽しさの中にも毎日のトレーニングに生かせるものがあったので、とても身になった練習でした」と話す。

ゲーム上位選手にはスポーツタオルが贈呈された

 同様に指導を受けた高校3年生の女子高校生は「1日とても楽しかったです。プレーをひとつずつ丁寧にすることを教わり、私たちのチームの課題も見直すことができました。日本のトップの選手に基礎から教えてもらい、いろいろなプレーを身につけることができました。これからもビーチは続けていきたいと思います」と話した。

 小学校の教諭でもある関は「子供たちはとてもいい表情でビーチをしており、今日、吸収したことをそれぞれの学校に持ち帰ってくれて広げてくれると思います。子供たちに学ぶ姿勢があって、ビーチをやりたくてここへ来ているというのを感じました。村上さんの指導を、自分の言葉に噛み砕いて子供たちに伝えて、褒めながら関われたので、みんな気持ちよく練習できたと思います」と話した。

フリータイムで熱心に指導する関

 中心となって講師を務めた村上は「様々なメニューを行いましたが、今日、気付かないことは多いと思います。しかし、これから試合に向けた練習のどこかで思い出して生かしてくれればいいと思います」と話した。
 ただ、村上はビーチの楽しさだけでなく、最後には生徒全員に向かい、プレーに対するメンタリティの重要性を「ゲームの中で『もうできない』『これは無理』という声が聞こえたが、そのようなマイナスな言葉ではなく、そのプレーができるようにするにはどうしたらいいのか考えたり、チームメイトと話し合ったりすることが大事」と説いた。

女子メイン講師を務めた畑辺

 すべての競技において、トッププレーヤーがどれだけ国内外で活躍するのかよりも、競技に触れ、その人生において興味を持ってプレーし続けている人々がどれだけいるのか方が、より重要である。
 競技の裾野を広げるジュニア、ユース世代への取り組みは、目に見えてすぐに結果が表れるものではなく、地道に、かつ途絶えることなく続けなくてはならないだろう。

 このアカデミーの冠協賛を行う株式会社アクティオは、日本のトップツアー「ジャパンビーチバレーボールツアー」への協賛、「ビーチバレーボール大学選手権」もスポンサードしており、日本ビーチの頂点から裾野まで、あらゆるレベルでの支援を行なっている。 
 今シーズン4年目を迎えた「AKTIOアンダーエイジ・ビーチバレー ボール・アカデミー」は、福井県小浜市、青森県八戸市、栃木県足利市で予定されている。

午後のフリータイムで指導する講師の詫間

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