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数々のドラマが生まれたマイナビジャパンツアー沖縄大会。チャンスをモノにしたチームたち【男子編】

2021.12.01

 新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、延期されていた「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021第3戦沖縄大会」(以下・マイナビジャパンツアー沖縄大会)が11月27日、28日、沖縄県豊見城市のオリオンECO美らSUNビーチで開催された。

 この大会はアジア選手権出場のため、日本代表ペアが不在。これまでの大会とは大きくシードが入れ替わり、数々のドラマが生まれた大会となった。

未完の大器、登場
 東京五輪後、若返りが期待される男子ビーチバレー界において、未完の大器が現れた。その名も現在、駒澤大学バレーボール部に所属する大学3年の上田翔貴(駒澤大学/KBSC)。今大会では、平良伸晃(ゲストハウスLapsi)とペアを組み、1回戦で庄司憲右(愛媛県競技力向上対策本部/湘南ベルマーレ)/永井雄太(松戸レガロ)組に勝利し最終日へ駒を進めた。

駒澤大学3年の上田

 準決勝では、石島雄介(トヨタ自動車)/黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)組に敗れたものの、2016年以降のジャパンビーチバレーボールツアーにおいて大学生で初のベスト4入りとなった。

 今回のペアは、1ヵ月ほど前にレシーバーの平良から上田へオファーし実現。平良は上田のことをどう見ているのか。「経験はないが、スピードや器用さで勝負できる身体能力を持っている選手。そして何よりも相手関係なく、自分の考えや意見を言える。試合中もパスの要望がくるし会話が途切れない。ポジティブなところがいいところ」と述べた。

2年ぶりにベスト4入りを果たした平良

 スケールの大きさをコートで発揮した上田は「初戦の序盤は緊張した」と話していたが、試合が進むにつれ、ブロッカーとして存在感を発揮しゲームを支配し始める。「最後のタイムアウトとったとき、平良さんが『あと3点くらいだから楽しもう』と言っていただいた。そこで気が楽になって思い切ってプレーできた」と先輩の後押しを受け、大金星を手にした。

 大会後は全日本インカレに出場するため、チームに合流した上田。バレーボールとビーチバレーの二刀流で活動しながらさらなる上を目指す。

輝きを放ったアマチュアの星
 アジア選手権の開催により上位チーム不在のチャンスをしっかりモノにしたのは、アマチュアの吉田英樹(マイセルフ/MAGS)/和田信二(マイセルフ)組だった。

 吉田/和田組は1回戦で、清水啓輔(フリー)/倉坂正人(フリー)組、準決勝で西村晃一(ITEC WINDS)/佐藤亮太(テクノスジャパン/雄大グループ)組をともにフルセットで破った。

初の決勝戦に挑んだ和田

 決勝戦は石島/黒川組にストレート負けを喫したが試合後のインタビューでは「平日はサラリーマン、週末で競技活動をしている中でプロ選手の勝つにはどうしたらいいか日々考えてきた。競技生活7年目で初めてツアーの決勝の舞台に立てた。今後ビーチバレーを始める方や週末だけでも始める方にいい刺激を与えることができたと思う」と胸をはってコメントした。

 吉田/和田組は、これまで4大会に出場したが、1勝もできなかった。しかし、今大会は即席のプロチームに対し、アマチュアチームがペア結成4年で生まれた絆の証を見せた。

 その勝因にあげられるのは、コンスタントに出ていた和田のブロック。和田自身も準決勝後は「砂の環境が自分に合っていて跳びやすかった。それでいい部分が出たと思う」と手応えを得ていた。  

 しかし、決勝戦は石島/黒川組の高さの前に屈した。吉田は「和田はブロッカーとしてはプロに劣らないくらい技術力があるけど、ゴッツさんは打点が高い。高さという点ではやはり劣る。その差をどう埋めていくかといったらサーブ力とそこからの戦術」と課題をあげ、さらなる闘争心を燃やしていた。

アマチュア屈指のレシーバー・吉田

 苦節を乗り越えてプロチームを粉砕し、決勝戦に挑んだ吉田/和田組。その輝きは、アマチュアプレーヤーたちの星となった。

写真/小早川渉

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