若きビーチ魂の挑戦

出場選手インタビュー⑥松本穏「目標である五輪を経験した村上さんの真似をしようと思った」

2021.09.27

トップツアーの初めての試みとなる「アクティオ・ワイルドカード」が導入された「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021第5戦 都城大会 第22回ビーチバレー霧島酒造オープン」が9月18日から20日、宮崎県都城市・焼酎の里 霧島ファクトリーガーデンで開催された。

「アクティオ・ワイルドカード」で出場した松本恋/松本穏(ともにMt.dogs)組は、予選プール戦を突破すると準々決勝ではオリンピアン率いる村上めぐみ(オーイング)/オト恵美里(産業能率大)組を破り、準決勝でも長谷川暁子(NTTコムウェア)/坂口由里香(大樹グループ)組に勝利し、強敵を次々に破る活躍を見せた。「若きビーチ魂の挑戦」出場選手インタビュー第6回は妹の松本穏選手のインタビューをお届けする。

国内最高峰ツアー初参戦となったマイナビジャパンツアー第4戦名古屋大会で3位入賞、第5戦都城大会で準優勝。瞬く間にその名をビーチバレー界に知らしめた「松本姉妹」。それは鮮烈なデビュー戦だった。ともに身長166cmのペアだが、その役割は明確である。姉の恋がポイントゲッターで、妹の穏はゲームメイクを司る頭脳である。

姉の恋は言う。「妹はパートナーであり、チームの監督」だと。穏の視野の広さを活かしたワン返しや角度のあるツー攻撃は、これまで何度もトップチームたちのリズムを狂わせてきた。持ち前の速いテンポのトスも精度が高く、チームの最大の武器である恋の決定力を握っている。

「別に速さで勝負したいわけではないんですよ。まだまだ途中段階で、世界相手には個人技術だけでは到底かなわないので、長期的に考えていろいろなことを試しながら勝負しています」

チームの生命線を握る21歳のレシーバーの視線の先にあるのは、3年後のパリオリンピックの舞台。松本姉妹の本当の勝負はまだ始まったばかりだ。

インタビューに応える松本穏


──ビーチバレーに転向しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
穏 小学校、中学校、高校とずっと姉の恋と一緒のチームでバレーボールをやってきました。姉の恋とは性格が真逆で、姉妹での試合中のケンカは巷では有名なんですよ(笑)。今は心を改めてケンカをしないように心がけています。ビーチバレーというスポーツはお互いのいいところがよく出せるスポーツ。父からもお互いに足りないものを補ってくれるのは姉妹だということを教えられて、ペアでビーチバレーをやってみたいと思いました。家族や周囲の協力があってスタート地点に立てたと思っています。

──トップツアーを経験して通じたと思う自分のプレーは?

穏 自分は姉のようにジャンプ力もないし、スパイクやフィニッシュに自信がないプレーヤーです。けれど、試合を見ている方に「打つキャラだっけ?」と言われました。ふと自分のプレーを見返したときに強いスパイクが打てるパワーがついて、足りない部分が補われてちょっと通用してきたのかなと感じました。

第5戦都城大会準々決勝

──今大会、準々決勝でオリンピアンの村上めぐみ選手と対戦していかがでしたか?
穏 村上さんは自分が目指しているオリンピックという舞台を経験している選手。試合をしていて本当に上手いと感じました。だからといってあきらめたくないし、しれっとやるのではなく、尊敬できる選手の真似をしようと思って挑みました。村上さんにアングルを決められたらアングル、カットを決められたらカットと見よう見まねでショットを打っていきました。レシーバー対決では劣るかも知れないけど、オト(恵美里)選手と恋が前でバコバコ打ってブロックにつくというチームのスタイルは似ていました。レシーブはとにかく村上さんの真似をして、あとは恋を信じて我慢しようと心がけていました。最終セットの終盤で最後に恋が上回ってくれたのが勝因だったと思います。

──穏選手の一番の武器は?
穏 自分自身が輝かないことです。自分のプレーは目立たなくていいので、姉の力を100の状態に持っていくのがいい状態。姉が100になるときは私自身も100になっているので、姉の力を発揮させることが自分の武器です。

スピード感あふれる動きが目を引く

──ライバルは?
穏 試合をしていくうえで自分との闘いになっていきます。プレーは数をこなして意識してやっていれば、そのうち身につくものだと思いますが、感情のコントロールは試合の数をこなしただけでは簡単に身につかないもの。そのときそのときで、自分自身の感情に勝つことができるかが自分の成長につながります。だからライバルは自分です。

──憧れているアスリートは?
穏 メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手(エンゼルス)です。映像をよく見ていて思うのですが、感情のコントロールや対戦相手を尊敬している姿勢を見習いたいと思っています。自分は負けず嫌いなので、試合中にやられて感情が高ぶってしまうと、対戦相手を敬うところがまだまだ足りない。自分に一番必要なところだと思っています。

──将来の目標は?
穏 オリンピックでメダルを獲得することが一番。それと同時に試合で勝って賞金を稼いで、家族を養っていけるくらい活躍することです。

将来の活躍が楽しみな松本姉妹

INTERVIEW/COLUMN、MOVIE、PHOTO GALLERY、
雑誌 BeachVolleyStyleの売り切れ号が電子版で読み放題!

BVStyle会員(有料会員)の
お申し込みはこちら