若きビーチ魂の挑戦

出場選手インタビュー③オト恵美里「逃げずに思い切り打っていこうとを決めていた」

2021.09.03

トップツアーの初めての試みとなる「アクティオ・ワイルドカード」が新設された「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021第2戦 平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯」が8月28日・29日、神奈川県平塚市・湘南ベルマーレひらつかビーチパークで開催された。「若きビーチ魂の挑戦」では、「アクティオ・ワイルドカード」で出場した選手たちに試合後にインタビューを行った。出場選手インタビュー第3回は、産業能率大3年のオト恵美里選手のインタビューをお届けする。

オトがビーチバレーを始めたのは、こんな想いがきっかけだった。「ビーチバレーはパートナーがいれば試合に出られるので補欠はいない。それも魅力的でしたし、砂の上で動くのも面白そうだなと思いました」。高校は、バレーボールの名門・下北沢成徳高。なかなかレギュラーポジションをつかめなかったオトは、産業能率大入学と同時にビーチバレーへ転向した。

身体能力の高さやポテンシャルを見込まれて大学1年のときにアンダーカテゴリーの日本代表に選出された。しかし、U21世界選手権の結果は惨敗。「たくさん練習して早くうまくなって勝てるようになりたい。そしてまたこの舞台に必ず戻ってきたい……」と涙で声をつまらせた。

その才能が開花したのは1年半後。1学年の上の山田紗也香とペアを組み、大学2年の大学選手権で初優勝。さらにその翌年となる今年、2連覇を達成した。
「これまでのバレー人生を振り返ると、自分が主になって大会で連覇を狙うというのは初めてだった。絶対に勝ちたかった」。ひとつの壁を乗り越えたオト。そして大学No.1のパワフルプレーヤーは、さらなる上のステージにあたるマイナビジャパンツアーという舞台に挑んだ。

現在、大学3年のオト(左)

──初めてのマイナビジャパンツアーはいかがでしたか?
オト 「アクティオ・ワイルドカード」を頂いて、試合の実況やライブ配信があるような大きな舞台で戦えたことを、たいへん感謝しています。試合には負けてしまいましたが、プロの選手と対戦して、今の自分のレベルがどの程度なのかわかりました。このレベルで勝つには、もっと努力をしないといけないなと感じました。

──対戦相手は高さのある橋本涼加(トヨタ自動車)/村上礼華(ダイキアクシス)組で、特に身長183cmの橋本選手の攻撃を、ブロックでなかなか止められませんでした。
オト  いつもの大学の試合で対戦する高さやタイミングとは違いました。試合の中でタイミングを計りながら跳んでいましたが、思うようにはプレーさせてはもらえませんでした。自分のよさを出そうとはしましたが、出しきれないところがありました。

──攻撃では、オト選手の武器である強打で点数を取りたかったと思いますが、それも阻まれました。
オト とにかくブロックが高かったです。高いことはわかっていましたが、ブロックを強打で打ち抜きたかったので、アウトになっても積極的に打っていきました。それが決まったら、ショットの攻撃もしようと考えていたのですが、その前に試合が終わってしまいました。早く考えを切り替えてもよかったのかもしれませんが、試合前に2人で『逃げずに思い切り打っていく』ことを決めていました。

持ち味はパワーのある強烈なスパイク

──オト選手は大学からビーチバレーを始めて3年目ですが、インドアバレーから転向して、ビーチバレーはいかがですか?
オト プレーの部分は始めた当初よりはよくなっていますが、まだまだ足りないところは多いと思います。ビーチバレーは2人しかいないので、6人のインドアバレーよりもボールを触る回数が多いし、ベンチに監督がいないので、自分たちで考えないといけないところは面白いです。自分が考えた戦術で点が取れると楽しいです。

──今後はどんな選手になりたいと考えていますか?
オト 大学生のペアでツアーに出場することはなかなかできないので、この経験を生かして、大学でも、もっとビーチバレーを盛り上げられる選手になりたいと思います。高いブロックにもどんどんスパイクを打っていける選手、ブロックでもジャンプ力で輝く選手になりたいです。(山田)紗也香さんも卒業してしまうので、自分でもゲームメイクをして考えてプレーできるようになりたい。どちらかというと今はまだ本能でプレーする方なので(笑)。

──お父様のロペティ・オトさんはラグビー日本代表経験もあるアスリートですが、ビーチバレーへの挑戦について何かおっしゃっていますか?
オト やるからには、上を目指して一生懸命がんばりなさいと言われています。東京オリンピックの試合も見ました。あの舞台に立つまでにどれだけの努力が必要だなと思ってずっと見ていました。そんな簡単ではないとはわかっているけど、今後続けていくならそこを目指してがんばっていきたいなと思っています。

先輩の山田(右)とともにフレッシュなプレーを見せた

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